栄養成分表示:炭水化物はどこに書かれているか

出典確認済み 更新日 2026年11月6日 9分で読めます

栄養成分表示のうち、炭水化物を数えるときに本当に大切なのは1行だけです。そのまわりには、製造者が決めた1食分の量、2回数えてしまうかもしれない糖類、誤って引かれる食物繊維という、いくつかの大切な落とし穴があります。

「炭水化物」の欄
探している数字
製品100 gあたり
EUの表示で必須の基準
食物繊維は含まない
EUの表示では別の欄

栄養成分表示のどこに炭水化物が書かれていますか?

栄養成分表示の表の、「炭水化物」という欄にあります。欧州連合(EU)では、この表には必須の項目が七つあり、いつも同じ順番で並んでいます。

  • エネルギー、
  • 脂質、
  • うち飽和脂肪酸、
  • 炭水化物、
  • うち糖類、
  • たんぱく質、
  • 食塩[1]。

「うち糖類」の欄は炭水化物の一部なので、必要な数字はやはり一つだけです[2]。その下に、ポリオールやでんぷんなど、任意の欄が加わることがあります。この表を、原材料の一覧と混同しないようにしましょう。製品によっては、1食分の値を示す2列目がある表もあります。

表示の「炭水化物」とは何を意味しますか?

この言葉は、体が利用する炭水化物、つまりでんぷん、糖類、ポリオールをまとめたものです。数えるのはこの数字で、表示のほかの何もこれに足しません。ヨーロッパの規則では、食物繊維は消化されないため、炭水化物には含めず、別の欄に示します。そのため、インスリンの投与量を計算するときの出発点となる数字は、炭水化物の値です[1]。

ソルビトール、マルチトール、キシリトール、エリスリトールといったポリオールも、砂糖より血糖値を上げにくいものの、炭水化物の値に含まれます。カロリーも少なめです[3]。ポリオールで甘みをつけたお菓子では、表示の数字が実際の影響より大きいことがあります。ポリオールが1食分で5 gを超えるときは、その半分を引き、エリスリトールは全量を引きます[4]。インスリンの投与量の調整は、必ず医師と相談しましょう。

「うち糖類」とは何を意味しますか?

炭水化物のうち、単純な糖類からなる部分です。ブドウ糖、果糖、ショ糖、乳糖、ガラクトース、麦芽糖がこれに当たります。表示では、もともと含まれる糖類と加えた糖類をまとめて示し、分けていません。「うち糖類」の値は内訳なので、すでに「炭水化物」の欄に含まれています。そのため、決して上乗せして足してはいけません。足すと糖類を2回数えることになり、インスリンの投与量が多すぎる結果になります。

糖類の割合が高いと、ふつうは血糖値が速く上がることを示します。ただし、この目安は確実ではありません。果糖と乳糖は血糖値をゆっくり上げ、パンのでんぷんは速く上げるからです[5]。どの糖が加えられたかを知りたいときは、原材料の一覧を読みましょう。砂糖、ブドウ糖果糖液糖などのシロップ、はちみつが書かれています。

表示の値は100 gあたりですか、1食分あたりですか?

EUでは、必須の基準は常に、固形の食品なら製品100 g、液体なら100 mlです。だからこそ、計算をしなくても二つの製品を直接比べられます。1食分の欄は任意です。製造者は右側に加えることはできますが、製品100 gあたりの値の代わりに置くことはできません。順番と単位は、どの製品でも同じです[6]。

最も大切な落とし穴は、1食分の量です。表示される1食分は製造者が決めたもので、たとえば朝食用シリアルのように、実際に食べる量より少ないことがよくあります[7]。値が売られている状態のものか、調理後のものかも確かめましょう。パスタ、米、インスタントスープは、ふつう調理前の状態で表示されます。缶詰では、汁を切った後に残ったものを量り、値が何についてのものかを確かめましょう。

自分が食べる量の炭水化物は、どう計算しますか?

1食分を量り、そのグラム数に表示の値をかけて、100で割ります。下の図のように、製品100 gあたり炭水化物70 gのビスケットを40 g食べるなら、計算すると炭水化物は28 gです。簡単な方法は、表示の値を10で割って、食品10 gあたりの炭水化物のグラム数を知ることです。液体でも同じように、ミリリットルを使います[2]。

正しく数えるには、表示に合わせて、調理前か調理後の状態で食品を量る必要があります。注意しないと、結果が大きく変わることがあります。1グラムの違いは問題にならないので、小数点以下にこだわる必要はありません。それでも、見た目で判断した1食分の量は、ときにかなり外れることがあります[8]。

図1

100 gあたりの表示から、皿の上の1食分へ

  1. 表示の値製品100 gあたり炭水化物70 g= 10 gあたり炭水化物7 g10で割ると、食品10 gに含まれる炭水化物の量がわかる
  2. 量った自分の1食分ビスケット40 g= 10 gが4つ分表示に合わせて、調理前か調理後の状態で量る
  3. 1食分の炭水化物4 × 炭水化物7 g= 炭水化物28 g液体でも同じ手順で、グラムの代わりにミリリットルを使う
本文の例を、一歩ずつ示したものです[1]。10で割るのは、1食分のグラム数をかけて100で割る計算の近道にすぎず、結果は同じです。1グラムの違いでインスリンの投与量は変わらないので、小数点以下にこだわる必要はありません[8]。EUの表示では、必須の基準は常に製品100 gです。1食分の欄は任意で、表示される1食分の量は製造者が決めたもので、実際に食べる量より少ないことがよくあります。

表示の炭水化物の合計に、食物繊維は含まれていますか?

いいえ、ヨーロッパの表示では含まれていません。「炭水化物」の項目には、体が代謝する炭水化物だけが入ります。食物繊維は腸で消化されないので、この項目の外にあります。食物繊維は任意の別の欄に示されることがありますが、多くの製品ではこの欄がありません[9]。そのため、食物繊維を引く必要はありません。もともと足されていないものを引くことになるからです。「食物繊維を引く」という規則は実際にありますが、当てはまるのはアメリカ、カナダ、日本です。日本の表示では、「炭水化物」の内訳として「糖質」と「食物繊維」が示されることもあり、炭水化物は糖質と食物繊維を合わせた量です[10]。

これらの国では、「Total Carbohydrate」(日本では「炭水化物」)の項目に食物繊維が含まれ、表示には食物繊維も別に示されます[11]。混乱は、アメリカのデータベースを使うアプリ、そこから輸入された製品、手直しなしに翻訳された教育資料を通して入り込むことがあります。EUの表示から食物繊維を引くと、インスリンの投与量が少なすぎ、食後に血糖値が上がります。この差が特に大きいのは、ふすま入りのパン、豆類、全粒穀物です[12]。

「糖類無添加」という表示は何を意味しますか?

製造者が、砂糖も、はちみつや濃縮果汁のような甘みのためのほかの原材料も加えていないという意味です。製品に炭水化物がないという意味ではありません。もともと含まれる糖類は残り、表示ではそのことを知らせる必要があります。果汁は、誰も砂糖を加えていなくても、100 mlあたり約10 gの炭水化物を含むことがあります[13]。

「糖類を含まない」という表示は、糖類が製品100 gまたは100 mlあたり0.5 g以下の場合に使えます。「糖類を減らした」という表示は、実際には似た製品と比べて少なくとも30%減っていることを示します。ただし、どちらの製品も、100 gあたりの炭水化物はまだかなり多いことがあります。そのため、包装の表面だけでなく、表示をよく読むことがとても大切です[14]。

糖尿病の人向けの製品は、炭水化物が少ないのですか?

ふつうはそうではありません。糖尿病向けの特別用途食品という区分は、2016年にヨーロッパの法律からなくなりました。組成について別の規則を設ける科学的な根拠がなかったからです[15]。こうした製品は今ではふつうの食品で、ほかと同じ表示がされ、炭水化物を少なくする義務はまったくありません。

典型的な例は、砂糖をポリオールに置き換えたものの、小麦粉と脂肪はそのまま残っているチョコレートやビスケットです[4]。炭水化物の値はあまり変わらず、値段は上がり、ポリオールを多くとるとおなかが張ることがあります[16]。ほかの製品と同じように扱い、100 gあたりの「炭水化物」の欄を、ふつうの製品のものと比べましょう。

栄養成分表示のない製品では、どうしますか?

見積もりに頼ることになり、こうした場面は決して珍しくありません[17]。パン屋や市場でばら売りされる食品は、法律上、アレルゲンを示せばよいことになっています。食品事業者が栄養成分の値を示す場合でも、エネルギー、脂質、飽和脂肪酸、糖類、食塩だけの簡略な形を使い、「炭水化物」の欄がないことがあります。加工していない単一の原材料の食品、ハーブや香辛料、ごく小さな包装も表示が免除されています。

手元には、三つの助けがあります。

  • 食品成分表と、それをもとにしたアプリ:平均的な値がわかる[18]、
  • すでに知っている基準の食品:たとえば30 gのパン1枚は炭水化物15 g、
  • レストランの皿:頭の中で材料ごとに分け、一つずつ見積もる[19]。

表示の値は、どれくらい正確ですか?

表示の値は平均値であり、目の前の包装を測ったものではありません[20]。製造者は、製品の分析、原材料にもとづく計算、一般に認められた成分表のいずれかから値を得られます。ヨーロッパの規則では、100 gあたりの炭水化物の量に応じて、かなり大きな誤差が認められています。

  • 10 g未満:誤差は2 gまで、
  • 10~40 g:誤差は20%まで、
  • 40 g超:誤差は8 gまで[21]。

誤差は、原料の自然なばらつき、焼成、水分、数字の丸めから生じます。それでも、表示はインスリンの投与量の最終的な計算には十分な正確さを保っています[2]。最も大きな間違いは、ほとんどいつも表示ではなく、見誤った1食分の量から生じます[19]。ある製品で毎回思いがけない結果になるなら、しばらくキッチンスケールで量り、わかったことに合わせて調整しましょう。

まとめ

  • 数えるのは「炭水化物」という1行だけで、「うち糖類」の項目はすでにそれに含まれていることを覚えておきましょう[1] [2]。
  • ヨーロッパの表示では食物繊維は炭水化物に含まれないので、引く必要はありません。「食物繊維を引く」という規則が当てはまるのは、カナダや日本でも使われているアメリカ型の表示です[9] [10] [11]。
  • 値は平均で、かなり大きな誤差が認められていますが、間違いは主に1食分の量の見積もりから生じ、表示からではありません[19] [20]。

参考文献

  1. European Parliament and Council of the European Union. Regulation (EU) No 1169/2011 of 25 October 2011 on the provision of food information to consumers. Official Journal of the European Union. 2011;L 304:18-63. EUR-Lex
  2. Bell KJ, King BR, Shafat A, Smart CE. The relationship between carbohydrate and the mealtime insulin dose in type 1 diabetes. J Diabetes Complications. 2015;29(8):1323-1329. PubMed
  3. Msomi NZ, Erukainure OL, Islam MS. Suitability of sugar alcohols as antidiabetic supplements: A review. J Food Drug Anal. 2021;29(1):1-14. PubMed
  4. Zumbé A, Lee A, Storey D. Polyols in confectionery: the route to sugar-free, reduced sugar and reduced calorie confectionery. Br J Nutr. 2001;85(Suppl 1):S31-S45. PubMed
  5. Atkinson FS, Brand-Miller JC, Foster-Powell K, Buyken AE, Goletzke J. International tables of glycemic index and glycemic load values 2021: a systematic review. Am J Clin Nutr. 2021;114(5):1625-1632. PubMed
  6. Van der Horst K, Bucher T, Duncanson K, Murawski B, Labbe D. Consumer Understanding, Perception and Interpretation of Serving Size Information on Food Labels: A Scoping Review. Nutrients. 2019;11(9):2189. PubMed
  7. Tal A, Niemann S, Wansink B. Depicted serving size: cereal packaging pictures exaggerate serving sizes and promote overserving. BMC Public Health. 2017;17(1):169. PubMed
  8. Smart CE, King BR, McElduff P, Collins CE. In children using intensive insulin therapy, a 20-g variation in carbohydrate amount significantly impacts on postprandial glycaemia. Diabet Med. 2012;29(7):e21-e24. PubMed
  9. Stephen AM, Champ MM, Cloran SJ, et al. Dietary fibre in Europe: current state of knowledge on definitions, sources, recommendations, intakes and relationships to health. Nutr Res Rev. 2017;30(2):149-190. PubMed
  10. Cabinet Office, Government of Japan. 食品表示基準(平成二十七年内閣府令第十号)別表第九 Food Labeling Standards (Cabinet Office Ordinance No. 10 of 2015), Appended Table 9. e-Gov Laws and Regulations Search. 2015. e-Gov
  11. Korczak R, Slavin JL. Definitions, regulations, and new frontiers for dietary fiber and whole grains. Nutr Rev. 2020;78(Suppl 1):6-12. PubMed
  12. Reynolds A, Mann J, Cummings J, Winter N, Mete E, Te Morenga L. Carbohydrate quality and human health: a series of systematic reviews and meta-analyses. Lancet. 2019;393(10170):434-445. PubMed
  13. Guzman G, Xiao D, Liska D, et al. Addition of Orange Pomace Attenuates the Acute Glycemic Response to Orange Juice in Healthy Adults. J Nutr. 2021;151(6):1436-1442. PubMed
  14. Kołodziejczyk A, Nowak J. Nutritional and Energy Profile of "No Added Sugar" Products Versus Their Conventional Counterparts on the Polish Food Market. Nutrients. 2025;17(20):3266. PubMed
  15. European Parliament and Council of the European Union. Regulation (EU) No 609/2013 of 12 June 2013 on food intended for infants and young children, food for special medical purposes, and total diet replacement for weight control. Official Journal of the European Union. 2013;L 181:35-56. EUR-Lex
  16. Koutsou GA, Storey DM, Lee A, et al. Dose-related gastrointestinal response to the ingestion of either isomalt, lactitol or maltitol in milk chocolate. Eur J Clin Nutr. 1996;50(1):17-21. PubMed
  17. Brazeau AS, Mircescu H, Desjardins K, et al. Carbohydrate counting accuracy and blood glucose variability in adults with type 1 diabetes. Diabetes Res Clin Pract. 2013;99(1):19-23. PubMed
  18. Rhyner D, Loher H, Dehais J, et al. Carbohydrate Estimation by a Mobile Phone-Based System Versus Self-Estimations of Individuals With Type 1 Diabetes Mellitus: A Comparative Study. J Med Internet Res. 2016;18(5):e101. PubMed
  19. Buck S, Krauss C, Waldenmaier D, et al. Evaluation of Meal Carbohydrate Counting Errors in Patients with Type 1 Diabetes. Exp Clin Endocrinol Diabetes. 2022;130(7):475-483. PubMed
  20. Jumpertz R, Venti CA, Le DS, et al. Food label accuracy of common snack foods. Obesity (Silver Spring). 2013;21(1):164-169. PubMed
  21. European Commission, Directorate-General for Health and Consumers. Guidance document for competent authorities for the control of compliance with EU legislation with regard to the setting of tolerances for nutrient values declared on a label. December 2012. European Commission

このページの引用方法

Ioacara S. 栄養成分表示:炭水化物はどこに書かれているか. Diabetes Academia. 更新日 2026年11月6日. https://diabetesacademia.com/ja/t1dm/nutrition-label

このページで使われている用語

関連するページ

1型糖尿病の炭水化物に関するほかのページ。