糖尿病の用語集

糖尿病アカデミー:情報と解決策 (DRS)

出典確認済み 更新日 2026年11月7日

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説明した用語
30
説明した略語
14
テーマ別のセクション

病気とその種類

糖尿病
インスリンが不足するか、十分に働かないために、血糖値が正常より高くなる慢性の病気です。
1型糖尿病
免疫系が膵臓のβ細胞を破壊し、体内でのインスリン産生が時間とともにほぼなくなる糖尿病です。多くの患者さんは、糖尿病が臨床的に明らかになった時点からインスリンが必要になります。ただし、成人の一部は何年も自身のインスリン産生を保ち、最初はインスリンを必要としません。
2型糖尿病
体はインスリンを作っているものの、それをうまく使えず、インスリンの産生も時間とともに少しずつ減っていく糖尿病です。最も多い種類の糖尿病です。
妊娠糖尿病
妊娠中期または後期に見つかる血糖値の上昇で、妊娠していないときの糖尿病の診断基準には達しない値のものです。通常は出産後に治まりますが、その後の数年間に2型糖尿病になるリスクを高めます。
二次性糖尿病
ほかの病気や治療が原因で起こる糖尿病です。たとえば、膵臓の病気や副腎皮質ステロイドが原因になります。
膵性糖尿病(3c型)
膵炎、膵臓の手術、その他の膵臓の病気で膵臓が損なわれた後に起こる二次性糖尿病です。
LADA
成人になってから始まる自己免疫性の糖尿病で、典型的な1型糖尿病よりゆっくり進行し、最初は2型と間違えられることがあります。
MODY
1つの遺伝子の変化によって起こるまれな糖尿病のグループで、通常は親から子へと家族の中で受け継がれます。
糖尿病予備群(前糖尿病)
血糖値が正常より高いものの、まだ糖尿病の基準には達していない段階です。糖尿病に進むリスクが高くなっています。
発症
病気がはっきりと現れ、診断がつく時点のことです。
寛解期(ハネムーン期)
1型糖尿病の治療を始めたばかりの時期で、残っているβ細胞がまだインスリンを作っているため、注射で補うインスリンの必要量が大きく減ります。
寛解期の終わり
寛解期が終わり、体内でのインスリン産生が再び減って、インスリンの投与量を増やす必要が出てくる時期です。
1型糖尿病のステージ
2種類以上の自己抗体を持つ人での、病気の3つの段階です。ステージ1は血糖値が正常、ステージ2は血糖値に軽い異常が加わり、ステージ3は臨床的に明らかな病気です。
長期的な経過
治療を続ける中で、病気と合併症のリスクが年月とともにどう変わっていくかということです。

生理学と免疫学

膵臓
胃の後ろにある臓器で、消化酵素と、インスリンやグルカゴンなどのホルモンを作ります。
β細胞
ランゲルハンス島の中でインスリンを作る細胞です。1型糖尿病では免疫系によって破壊されます。
ランゲルハンス島
膵臓のあちこちに散らばる、ホルモンを作る細胞の小さな集まりで、インスリンを作るβ細胞を含んでいます。
インスリン(ホルモン)
β細胞が作るホルモンで、ブドウ糖を細胞の中に取り込ませ、それによって血糖値を下げます。
グルカゴン
膵臓が作るホルモンで、インスリンと反対の働きをします。肝臓からブドウ糖を放出させて血糖値を上げます。
Cペプチド
体内で作られたインスリンと一緒に血液中に放出される断片で、残っているインスリン産生の目安に使われます。
ブドウ糖(グルコース)
血液中を流れる単純な糖で、細胞の主なエネルギー源です。
血糖値
血液中のブドウ糖の濃度で、mg/dLまたはmmol/Lで表します。
自己免疫
免疫系の誤った反応で、自分の体の組織を攻撃してしまうことです。
自己免疫の過程
β細胞に向けられた免疫反応の全体で、少しずつβ細胞の破壊につながります。
自己抗体
自分の体の組織に向けられた抗体です。1型糖尿病では症状が出る数か月から数年前に現れ、診断に役立ちます。
GAD抗体(GADA)
β細胞にあるGADという酵素に対する自己抗体で、成人の自己免疫性糖尿病の発症時に最も多く見られます。
IA-2抗体(IA-2A)
β細胞にあるIA-2というたんぱく質に対する自己抗体で、自己免疫性糖尿病の診断に使われます。
ZnT8抗体(ZnT8A)
β細胞にある亜鉛輸送体8に対する自己抗体です。
インスリン自己抗体(IAA)
体内で作られたインスリンに対する自己抗体で、特に1型糖尿病の幼い子どもによく見られます。
膵島炎
β細胞への自己免疫の攻撃によって起こる、ランゲルハンス島の炎症です。
免疫系
感染から体を守る細胞と分子の全体です。自己免疫の病気では、自分の体の組織も攻撃します。
Tリンパ球
1型糖尿病でのβ細胞の破壊に中心的な役割を果たす免疫細胞です。
細胞性免疫
抗体ではなく、細胞、特にTリンパ球が直接担う免疫の働きです。
遺伝的素因
病気のリスクを高める遺伝子のタイプを受け継いでいることですが、それで必ず病気になるわけではありません。
HLA
免疫の主な遺伝子のシステムで、ヒト白血球抗原と呼ばれます。特定のHLAのタイプは、1型糖尿病のリスクを大きく高めます。
分子相同性(分子擬態)
微生物の構造と自分の体の構造がよく似ているために、免疫系がだまされて自分の細胞も攻撃してしまうことがある現象です。
腸内細菌叢(腸内マイクロバイオーム)
腸の中にいる微生物の全体です。免疫の発達に影響し、1型糖尿病の要因として研究されています。
環境要因
感染や食事など、遺伝子以外の要素で、病気の引き金に関わることがあります。
ウイルスや細菌の感染
1型糖尿病の自己免疫を引き起こしたり、早めたりする可能性のある要因として研究されている感染です。
エンテロウイルス
子どもによく見られるウイルスのグループで、1型糖尿病の自己免疫の引き金となる可能性がある要因として研究されています。
ビタミンD
免疫と骨の健康に関わるビタミンです。血中濃度が低いと、1型糖尿病のリスクが高いことと関連があるとされています。
栄養の要因
乳幼児期の食事のうち、1型糖尿病のリスクとの関係が研究されている要素です。たとえば、母乳で育てた期間や、グルテンを食べ始めた年齢です。
周産期の要因
出生時の体重や帝王切開での出産など、出産前後の状況で、1型糖尿病のリスクのわずかな違いと関連しているものです。
β細胞の保護
早期の診断から免疫療法まで、残っているβ細胞を守ろうとする取り組みのことです。
コルチゾール
副腎で作られるホルモンで、血糖値を上げます。ストレスや病気のときに多く放出され、副腎皮質ステロイドによる治療も同じ作用を持ちます。
グリコーゲン
体がブドウ糖を蓄える形で、主に肝臓と筋肉に蓄えられます。血糖値が下がると、肝臓がブドウ糖に戻します。
アドレナリン
ストレスや低血糖のときにすばやく放出されるホルモンです。血糖値を上げ、ふるえや動悸など、低血糖の警告サインの一部を引き起こします。
グルテン
小麦、大麦、ライ麦に含まれるたんぱく質です。グルテンが小腸を傷つけるセリアック病は、一般の人と比べて1型糖尿病の患者さんに多く見られるため、1型糖尿病では大切です。

症状と発症

多尿
尿の回数と量が多くなることで、高血糖の典型的なサインの1つです。
多飲(口渇)
強いのどの渇きが続くことで、糖尿病の発症時には通常、多尿と一緒に見られます。
脱水
体から水分が失われすぎることで、糖尿病の発症時には尿の量が多いためによく起こります。
典型的な発症
のどの強い渇き、頻尿、体重減少、疲れやすさといった典型的なサインとともに病気が現れることです。
気づかれにくい(ゆっくりした)発症
はっきりした症状がないまま病気が始まることで、検査やスクリーニングで初めて見つかることもあります。
ケトアシドーシスでの発症
重い発症の形で、糖尿病ケトアシドーシスが起きてから初めて診断がつくものです。

検査と診断

空腹時血糖値
少なくとも8時間何も食べていない朝に測った血糖値です。126 mg/dL(7.0 mmol/L)以上の値が2回目の検査でも確認されると、糖尿病と診断されます。
随時血糖値
食事の時間に関係なく、1日のいつでも測った血糖値です。200 mg/dL(11.1 mmol/L)以上の値に典型的な症状を伴う場合、糖尿病と診断されます。
HbA1c(ヘモグロビンA1c)
ブドウ糖が結合したヘモグロビンの割合です。過去2~3か月の平均的な血糖値を反映します。
推定平均血糖値(eAG)
HbA1cから計算した平均血糖値で、ふだんの血糖値と同じ単位で表します。
経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)
75 gのブドウ糖を含む決まった飲み物を飲む前と、飲んでから2時間後に血糖値を測る検査です。
診断基準
糖尿病と診断する、国際的に定められた血糖値とHbA1cの基準値です。
スクリーニング
症状のない人を検査して、病気やそのリスクをできるだけ早く見つけることです。
ケトン体
細胞がブドウ糖を使えずに脂肪を過剰に燃やすとき、肝臓が作る物質です。インスリンがないと、危険なほどたまっていきます。
血中ケトン体
血液中にケトン体があることで、簡易検査で測定できます。
尿ケトン体
尿中にケトン体があることで、試験紙で調べることができます。
尿糖
尿中にブドウ糖が出ることです。血糖値が腎臓の閾値である約180 mg/dL(10.0 mmol/L)を超えると現れます。
血清クレアチニン
腎臓の働きを反映する血液検査で、eGFRの計算に使われます。
AST(トランスアミナーゼ)
血液中で測る肝臓の酵素で、肝線維化を評価するFIB-4スコアなどに使われます。
ALT(トランスアミナーゼ)
ASTと一緒に血液中で測る肝臓の酵素で、同じく肝線維化を評価するFIB-4スコアに使われます。
HDLコレステロール
血管の壁から肝臓へコレステロールを運び戻す種類のコレステロールです。値が高いことは通常望ましく、そのため「善玉コレステロール」と呼ばれます。
LDLコレステロール
動脈の壁にたまる種類のコレステロールです。値が高いと心筋梗塞や脳卒中のリスクが高まるため、「悪玉コレステロール」と呼ばれます。
血小板
血液を固める働きに関わる血液の細胞です。その数はFIB-4スコアの計算に使われます。
eGFR(推算糸球体濾過量)
腎臓の働きを表す標準的な指標で、クレアチニン、年齢、性別から計算します。
腎機能
血液をろ過する腎臓の働きで、糖尿病の患者さんでは定期的に確認します。
肝線維化
肝臓が少しずつ硬くなっていくことです。そのリスクは、FIB-4スコアで体を傷つけずに推定できます。

急性合併症

低血糖
血糖値が70 mg/dL(3.9 mmol/L)未満に下がることです。通常はふるえ、汗、空腹感が現れますが、サインがないまま起こることもあり、その場合も吸収の速い炭水化物による治療を行います。
重症低血糖
回復するためにほかの人の助けが必要になる低血糖です。
高血糖
血糖値が目標値を超えて高くなることです。
糖尿病ケトアシドーシス
インスリンの不足によって起こる重い急性合併症で、ケトン体がたまり、血液が酸性に傾きます。医療の緊急事態です。
低血糖性昏睡
重症低血糖によって意識を失うことです。
低血糖の治療
約15 gの吸収の速い炭水化物で血糖値をすばやく上げることで、必要に応じて15分後にくり返します。
緊急用グルカゴン
血糖値をすばやく上げる薬で、本人が飲み込めない重症低血糖のときに使います。

インスリン療法

インスリン療法
体の外からインスリンを補う治療で、1型糖尿病には欠かせません。
基礎インスリン
作用が長く続くインスリンで、食事と食事の間や夜間に体が必要とする分をまかないます。
追加インスリン(ボーラス)
食事のときに打つインスリンで、食べた炭水化物の分をまかないます。
超速効型インスリン
食事用のインスリンアナログで、5~15分で効き始め、3~5時間効果が続きます。
より速く効く超速効型インスリン
効き始めがさらに速い食事用のアナログで、食事の直前の注射に適しています。
持効型溶解インスリン
作用ができるだけ平らな基礎インスリンで、約24時間以上効果が続きます。現在使われている持効型のアナログは、グラルギンとデグルデクです。
中間型インスリン(NPH)
効果が約12~18時間続くヒトの基礎インスリンで、現在は持効型のアナログと比べて使われることが少なくなっています。
ヒトインスリン
人の体が作るインスリンと同じもので、バイオテクノロジーで作られます。食事用の速効型インスリンと、基礎インスリンとしてのNPHがあります。
インスリンアナログ
ヒトインスリンを少し変えて、より使いやすい作用のしかた(より速い、またはよりゆっくりで安定した作用)にしたインスリンです。
基礎・追加インスリン療法(ベーサル・ボーラス療法)
基礎インスリンに、食事と補正のためのボーラスを組み合わせる治療法で、体本来のインスリン分泌に最も近いものです。
頻回インスリン注射療法
インスリンペンで1日に何回も注射して、基礎・追加インスリン療法を行うことです。
インスリンの投与量
1回に投与するインスリンの量で、国際単位で表します。
インスリンペン(ペン型注入器)
ペンの形をした注射器具で、インスリンのカートリッジと投与量のダイヤルがついています。
ペン型注入器用の注射針
注射のたびにペンに取りつける、使い捨ての短い針です。
注射の手技
インスリンを皮下に正しく注射する方法で、インスリンの吸収に直接影響します。
注射部位のローテーション
脂肪肥大を防ぐために、注射する場所を計画的に変えていくことです。
脂肪肥大(リポハイパートロフィー)
何度も注射した場所の脂肪組織が厚くなることで、インスリンの吸収が予測しにくくなります。
糖質/インスリン比(ICR)
インスリン1単位で処理できる炭水化物のグラム数で、食事のボーラスの計算に使います。
インスリン効果値(ISF)
インスリン1単位で血糖値が何mg/dL下がるかを表す値で、補正インスリンの量の計算に使います。
補正インスリン
高い血糖値を目標まで戻すために追加で投与するインスリンです。
残存インスリン
先に打ったボーラスのうち体内に残っていて、まだ血糖値を下げ続けているインスリンで、補正インスリンを打つ前に毎回確認します。英語の「insulin on board」から、IOBとも呼ばれます。
インスリン デグルデク
作用がとても長く続く基礎インスリンで、24時間を超えて効き、1日1回投与します。
インスリン グラルギン
作用が長く続く基礎インスリンで、通常は1日1回投与します。2つの濃度の製剤があり、医師の指示なしに互いに置き換えることはできません。
テプリズマブ
モノクローナル抗体で、自己抗体を持ち、すでに血糖値に異常がある人で、1型糖尿病のステージ2からステージ3への移行を遅らせます。

グルコースセンサー

グルコースセンサー
体に装着し、指先を何度も刺すことなく、数分ごとにグルコースの濃度を測る機器です。
持続グルコースモニタリング(CGM)
センサーで昼も夜もグルコースを自動的に測り、値と変化の傾向を表示することです。
リアルタイムCGM
1つひとつの値を自動的にスマートフォンや受信機に送り、自分でアラームを鳴らせるセンサーです。
間歇スキャン式CGM
スマートフォンやセンサー用の読み取り機を近づけたときに値を表示するセンサーです。
経皮型センサー
細いフィラメントを皮膚から差し込むセンサーで、通常は7~15日間装着します。
植込み型センサー
小さな処置で皮下に完全に植え込むセンサーで、最長1年間使えます。
間質液
細胞と細胞の間にある液体で、センサーは実際にはここでグルコースを測っています。
センサーと血液のタイムラグ
間質液の値が血液中の血糖値より数分遅れることで、特に急な変化のときに目立ちます。
較正(キャリブレーション)
指先で測った血糖値に合わせてセンサーを調整することです。最近のセンサーの多くは工場で較正済みですが、添付文書に書かれた間隔で較正が必要なものもあります。
ウォームアップ期間
装着した後、センサーがまだ値を表示しない時間です。
精度
センサーの値が実際の血糖値にどれだけ近いかということです。
補助的な使用
センサーを追加の情報としてだけ使い、治療の判断は血糖測定器で確認することです。
非補助的な使用
血糖測定器で確認せずに、センサーの値をそのまま投与量の判断に使うことです。
統合型CGM(iCGM)
ほかの機器、たとえば自動インスリン投与のポンプと安全に通信できると認証されたセンサーです。
相互運用性
異なるメーカーのセンサー、ポンプ、アルゴリズムが一緒に動作できることです。
トランスミッター
センサーの値をスマートフォンや受信機に無線で送る部品です。
受信機(レシーバー)
センサーの値を表示する専用の機器で、スマートフォンの代わりに使います。
アプリケーター
押すだけでセンサーを皮膚に装着できる器具です。
アラーム
血糖値が低いとき、高いとき、急に変化しているときに、センサーが音や振動で知らせる警告です。
トレンド矢印
画面に表示される矢印で、血糖値が変化している方向と速さを示します。
血糖測定器
指先から採った1滴の血液で血糖値を測る、従来からある機器です。
指先穿刺
穿刺器具を使って、血糖測定器のための1滴の血液を指先から採ることです。
プロフェッショナルCGM
診察室で装着して短期間使うセンサーで、最後に医師がデータを分析します。
使用期間
装着してからセンサーが測定を続ける日数で、メーカーが定めています。
データの送信と保存
センサーの値がアプリやプラットフォームに送られる流れで、そこでは医療チームや家族も値を見ることができます。

インスリンポンプ

インスリンポンプ
体に装着して、超速効型インスリンを皮下に持続的に注入する機器で、頻回注射の代わりになります。
チューブ式ポンプ
ポケットやベルトにつけるポンプで、細いチューブとインフュージョンセットで体とつながっています。
パッチ式ポンプ(チューブなし)
皮膚に直接貼りつけてリモートで操作する小さなポンプで、外に出るチューブはありません。
基礎インスリン用のパッチ
一定の速さで基礎インスリンを注入するパッチ型の機器です。ボタンを押して、食事のときに少量を追加できる機種もあります。
ボーラス用のパッチ
ボタンを押して、食事のときのボーラスだけを注入するパッチ型の機器です。
植込み型ポンプ
手術で腹部に植え込み、体の中にインスリンを放出するポンプです。使われるのはまれで、特別な状況に限られます。
基礎レート
ポンプが1時間ごとに注入する少量のインスリンで、注射で打つ基礎インスリンの代わりになります。
ボーラス
食事や補正のために1回に投与するインスリンの量です。
インフュージョンセット
ポンプからインスリンを皮下に届けるチューブとカニューレの組み合わせです。2~3日ごとに交換します。
カニューレ
皮下に入れるとても細いプラスチックまたは金属の管で、ここからインスリンが入ります。
カテーテル
ポンプがインスリンを注入するための管の総称です。
リザーバー
ポンプの中にある、超速効型インスリンを満たす容器です。
閉塞
チューブやカニューレでインスリンの流れが止まることです。ポンプのアラームは2時間以上遅れたり、鳴らなかったりすることがあるため、理由なく血糖値が上がるときはセットの確認が必要です。そのままにすると、閉塞はすぐに高血糖とケトーシスにつながります。
持続皮下インスリン注入療法(CSII)
ポンプによって、途切れることなくインスリンを皮下に注入することを表す医学用語です。
ハイブリッドクローズドループ(HCL)
アルゴリズムがセンサーの値に応じて、基礎レートと自動補正でインスリンを自動的に調整するシステムで、食事のボーラスは利用者が行います。AIDポンプで最も広く使われている形です。
自動インスリン投与(AID)システム
ポンプ、センサー、アルゴリズムを組み合わせて、インスリンの投与を自動的に調整するシステムです。略してAIDポンプと呼びます。
体本来の分泌の再現
現代の治療の目標で、健康な膵臓がインスリンを放出するしかたを、できるだけ忠実に再現することです。

栄養と生活習慣

炭水化物
食品に含まれる栄養素のうち、血糖値を直接上げるもので、単純な糖からでんぷんまでを含みます。日本の食品表示では、炭水化物は糖質と食物繊維の合計として示されます。
カーボカウント
毎食の炭水化物のグラム数を見積もることで、1型糖尿病では食事のボーラスを計算する基本になります。
グリセミック・インデックス(GI)
同じ量の炭水化物を食べたとき、ある食品による血糖値の上昇を、ブドウ糖による上昇と比べた指標です。
1食分の量
実際に食べた食品の量で、グラムや、さじ・カップなどの家庭での計量で表します。
身体活動
エネルギーを使うあらゆる動きです。通常は血糖値を下げるため、インスリンの投与量の調整や補食が必要になります。
過体重
体重が正常範囲を超えていることで、成人ではBMIが25 kg/m²以上と定義されます。

スコアと計算ツール

BMI(体格指数)
体重を身長の2乗で割った値で、成人の体重の分類に使います。
eGFR CKD-EPI 2021
成人の腎機能を推定する現在の標準的な式で、クレアチニン、年齢、性別を使います。
Schwartzの式
小児のeGFRを推定する式で、身長とクレアチニンを使います。
FIB-4
年齢、トランスアミナーゼ、血小板から計算するスコアで、肝線維化のリスクを推定します。
FINDRISC
今後10年間に2型糖尿病になるリスクを推定する、検証済みの質問票です。
PREVENT
米国心臓協会(American Heart Association)の一連の計算式で、腎機能も使って、10年後と30年後までの心血管疾患のリスクを推定します。
PHQ-9
過去2週間についての9つの質問からなる質問票で、うつ病の目安に使います。これだけで診断が決まるわけではありません。
GAD-7
過去2週間についての7つの質問からなる質問票で、不安の目安に使います。これだけで診断が決まるわけではありません。
単位換算ツール
検査値の単位を変換するツールで、たとえば血糖値をmg/dLとmmol/Lの間で換算します。
パーセンタイル
同じ年齢・性別の基準集団の中で、ある値がどの位置にあるかを示すものです。50パーセンタイルは集団の真ん中の値です。

疫学と心理

発症率
ある集団で、一定の期間(通常は1年)に新たに起きた患者の数です。
有病率
ある時点で、集団の中でその病気とともに暮らしている人の総数です。
死亡率
集団の中で病気に関連して起きる死亡の頻度で、医療の進歩を測るために追跡されます。
平均余命
統計的に推定した、残りの生存年数の平均です。糖尿病の研究で常に追跡されている指標です。
ストレス
負担に対する体の反応です。ストレスホルモンは血糖値を上げ、心理的なストレスは毎日のセルフケアの妨げになります。
心理的な影響
燃え尽きから不安まで、慢性の病気がもたらす心の負担で、医療チームと率直に話し合う価値があります。
心理的な支援
糖尿病による心の負担に対する、専門家や地域社会からの支援です。
合併しやすい自己免疫疾患
1型糖尿病の患者さんに多いほかの自己免疫の病気で、まず自己免疫性甲状腺炎とセリアック病が挙げられます。
自己免疫性甲状腺炎
甲状腺の自己免疫による炎症で、1型糖尿病に合併する病気として最も多いものです。
セリアック病
グルテンに対する自己免疫の不耐症で、1型糖尿病の患者さんでは定期的に検査で調べます。

慢性合併症

糖尿病網膜症
何年も続く高い血糖値によって、網膜の細い血管が傷つくことです。症状が出る前に、眼底検査で見つけます。
糖尿病性神経障害
神経が傷つくことで、足に最も多く、しびれ、ちくちく感、痛みが出ます。感覚が鈍くなり、傷に気づかないことがあります。
糖尿病性腎症
腎臓が傷つくことで、尿中のアルブミンと推算糸球体濾過量で経過を見ます。

飲み薬

メトホルミン
2型糖尿病で長く使われている飲み薬で、合併する病気のためにほかの治療が必要でなければ、最初の薬として選ばれることが多いものです。肝臓でのブドウ糖の産生を減らします。ほかの薬と併用しなければ、低血糖は起こしません。
スルホニル尿素薬(SU薬)
2型糖尿病で使われる飲み薬のグループで、β細胞を刺激してインスリンを放出させます。メトホルミンと違い、低血糖を起こすことがあります。

略語

ADA
American Diabetes Association(米国糖尿病学会)。毎年の診療標準を作成しています。
AID
automated insulin delivery。自動インスリン投与システム(AIDポンプ)です。
AST
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ。FIB-4スコアに使うトランスアミナーゼです。
BMI
body mass index(体格指数)。
CHO
carbohydrate(炭水化物)。
CGM
continuous glucose monitoring(持続グルコースモニタリング)。
CKD-EPI
Chronic Kidney Disease Epidemiology Collaboration。eGFRを計算する標準的な式です。
DM
diabetes mellitus(糖尿病)。
eAG
estimated average glucose。HbA1cから計算した推定平均血糖値です。
EASD
European Association for the Study of Diabetes(欧州糖尿病学会)。
eGFR
estimated glomerular filtration rate(推算糸球体濾過量)。
FIB-4
Fibrosis-4。肝線維化のリスクを推定するスコアです。
FINDRISC
Finnish Diabetes Risk Score。2型糖尿病のリスクを調べる質問票です。
GADA
グルタミン酸脱炭酸酵素(GAD)に対する自己抗体(GAD抗体)。
HbA1c
ヘモグロビンA1c。
HLA
human leukocyte antigen(ヒト白血球抗原)。
IA-2A
β細胞のたんぱく質IA-2に対する自己抗体(IA-2抗体)。
IAA
insulin autoantibodies(インスリン自己抗体)。
ICD-10
国際疾病分類 第10版。
iCGM
integrated CGM。相互運用性の認証を受けた統合型CGMです。
ICR
insulin-to-carbohydrate ratio。日本語では糖質/インスリン比で、インスリン1単位で処理できる炭水化物のグラム数です。
ISF
insulin sensitivity factor。インスリン効果値で、補正係数とも呼ばれます。
ISPAD
International Society for Pediatric and Adolescent Diabetes(国際小児思春期糖尿病学会)。
IU
international unit(国際単位)。インスリンの投与量を表す単位です。
LADA
latent autoimmune diabetes in adults(成人潜在性自己免疫性糖尿病)。
MODY
maturity-onset diabetes of the young(若年発症成人型糖尿病)。若い年齢で発症する単一遺伝子の糖尿病です。
NPH
neutral protamine Hagedorn。中間型のヒトインスリンです。
OGTT
oral glucose tolerance test(経口ブドウ糖負荷試験)。
WHO
World Health Organization(世界保健機関)。
ZnT8A
亜鉛輸送体8に対する自己抗体(ZnT8抗体)。